テーマ9 仕事の教え方、任せ方
日頃の部下指導の中で、実践的な重要事項としては、次の5項目が上げられます。
「教え方、任せ方、聴き方、ほめ方、叱り方」
これらの項目に関する知識は、上司として部下に対する基本マナーともいえます。
新入社員研修のときに、おじぎの仕方や名刺交換の仕方、言葉使い等を勉強しますが、
新入社員の人たちには、これは、「相手に最高に生産性の高い仕事をしてもらうための
社会人としてのマナーです。」と伝えております。
教え方、任せ方、聴き方、ほめ方、叱り方も「部下に最高に生産性の高い仕事をして
もらうための上司としてのマナー」となります。
上司として部下とコミュニケーションをとるための基本型として
身につけておくべき事項といえます。
仕事の教え方、任せ方を考えるときに、よく参考に使われるのが、山本 五十六の名言です。
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山本五十六(やまもと いそろく)名言
山本 五十六
1884年04月04日 - 1943年04月18日
日本海軍の軍人。26、27代連合艦隊司令長官。
・やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。
・話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
・やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
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今回は、上記の名言を踏まえて仕事の教え方、任せ方について解説致します。
■仕事の教え方
部下に仕事の教える時の基本的手順は、以下のようになります。
1.仕事の目的、全体像を伝える
・何のためにこの仕事をするのか仕事の目的を伝えます。
・会社や部署の仕事の中で、この仕事がどのような位置づけになるのか、
全体像を伝えます。
*仕事の目的、全体像を伝えることにより、仕事を押し付けられた
感覚はなくなり、仕事の目標達成に、責任を持って関わるようになります。
また、仕事への参画意識が増し、責任と意欲が増します。
2.提出すべき成果物を明確にする
・上司に提出すべき成果物の内容を明確に伝えます。
*出すべき結果が分かるため、業務を早く、効率よく行うこと
を考えるようになり、仕事の工夫改善が進みます。
3.仕事の手順を説明する
・仕事の手順を説明します。マニュアルがあれば、マニュアルを
見ながら説明します。
4.やってみせる
・上司である自分が、手順どおり実際に仕事をやってみせます。
5.やらせてみる
・部下にその仕事を実際にやらせてみます。
6.ほめる
・1回の説明でできたことをほめてあげます。
*上司にほめられるということは、部下にとっては、認められた、
評価されたということになり、仕事への意欲が高まります。
■仕事の任せ方
部下に仕事を任せる時の基本的手順は、以下のようになります。
1.任せる目的を伝える
・なぜこの仕事をあなたに任せるのか、何を期待しているのかを伝えます。
*任せる目的や期待を部下に伝えることにより、責任感と意欲を高めます。
2.任せる仕事の内容と提出すべき成果物を明確にする
・どこまで仕事をするとよいのか、具体的にどのような成果物を
上司に提出するとよいのかをお互いに確認します。
3.必要な資料、情報を渡す
・任せる仕事に関する資料や取引先等に関する情報等、仕事を任せた部下が、
仕事をする上で必要と考えられるものは全て渡します。
*仕事を任せられた部下が、仕事の途中で困って相談に来た時に、
「それならこの資料がある」とその時になって資料を部下に渡すのは、
「資料があるなら最初から渡してくれればいいのに」と
部下からの信頼を失う原因の一つともなるので、資料や情報は、
事前によく考えて漏れのないように渡します。
4.報告の頻度と方法を決める
・「毎週何曜日の何時から何時まで、この資料を基に報告会を開く」
というようにあらかじめ、報告の頻度と報告の方法を決めておきます。
・定例の報告会以外でも、何か分からないところが発生した時は、
すぐ相談にくるように伝えておきます。
*「仕事は任せたけれど、報告はしなくていいとは言っていないぞ」と
上司に注意されたことがある方もいらっしゃると思いますが、
基本的には、部下にこういうことを言う前に、上司が報告の頻度と
報告の方法を決めておくべきものです。
また、仕事の責任は、あくまでも仕事を任せた上司にあります。
それを踏まえて、問題が発生した場合は、速やかに指示や対応が
できるような体制にしておきます。
5.必要以上に口出ししない
・自分で考えて仕事を行っている部下の意欲をそがないように、
設定した報告会の時以外は、必要以上に口出ししないようにします。
*部下の仕事ぶりを見守るという姿勢が重要です。
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